2度目のドルマゲス(第一形態)戦。
「ドルマゲスB、Cの方がHP低いで」と教える。
「お前そんなんさっきは一言も言うてくれへんかったな」 恨めしそうに言うなよ。
今回はガレキ攻撃が上手い具合に分散してくれた。
いてつく波動にへこたれず懸命に守備固めに徹する。
攻撃はアーサーのはやぶさ斬り、ヤンガスのかぶと割りと蒼天魔斬。
回復はククールのベホマとゼシカの祝福の杖。
途中何度かキャラが死亡の事態に陥るも、ザオラル一回で復活に成功。
「長い……。なかなか死なへん」
しかし親父よ、気付けば敵はドルマゲスAのみじゃないか。
さっきまで回復専門だったククールに、攻撃の余裕まで生まれている。
倒す順番を変えるだけで、こんなに違うものなのか。
これは勝ちそうだ、と俺は思う。
まぁ、第一形態だけでも倒しておけば次来る時に楽だものな。
「やった! 倒したぞ!」 最後はヤンガスのかぶと割りだった。
だがしかし、ドルマゲスはまだ生きている。
第二形態の登場だ。
「まさか……また戦うんか? わざと死ななあかんのとちゃうんか」
「どうやろうなぁ」と俺。
「しゃあないな、もう!」
「まぁまず無理やで。俺はここで一回全滅したからな」
親父は考えるように唸っている。
「これで勝ったら君は運が良すぎる人やで」
「いっちょやったる!」
VSドルマゲス(第二形態)戦。
炎を吐かれて、HPがかなり減る。炎はフバーハで防げと教える。
俺は一応アドバイスを繰り返す。
誰がHP減ってるだとか、波動が来たから全部解けたぞ、とか。
いてつく波動が来ると、やはり厳しい。立て直すのに必死だ。
またククールが死んだ。
「あかんで! あかんであかんでコレは。ヤバイなぁ」
「葉っぱがあるやろ」
「あぁそうか、よし行け、アーサー!!」
ククール復活! 四人揃ったのも束の間、今度はアーサーが死亡。
ザオラル4回目でやっと生き返るという運の無さ。
しかし、苦戦しながらも親父はどうにか戦えている。
防具類を揃えて来たのが幸いしたか、呪文ダメージがさほど無い。
そうこうしている所で痛恨の操作ミス。
ベホマと祝福の杖の両方をゼシカに使ってしまう。
そのターンでククールが死亡。ほんとよく死ぬ奴だ。
攻撃役はヤンガス一人になってしまった。
一人減ると、バイキルトをかける暇も無い。
「これやったれ」 親父が選んだのは大まじん斬り。
「一発逆転を狙うんや! 行け!」
不思議なくらいミスが出ない。おかしい。
(これはいけるかも)と思い始めた時、先手ドルマゲス、炎を吐く。
フバーハかけてなかったーー! というか、暇がなかった。ヤンガスが死亡。
アーサーがHP約30のゼシカにベホマでターン開始。
が、なんでそんなに素早いですかドルマゲス。
ゼシカが撲殺され、ベホマは自動的にアーサーに。
「一人になってもうた。ちくしょう、あかんか?」 よく戦った方だよ親父。
俺は(どこでレベル上げするのが良いかなぁ)などと考える。
だが……アーサーの2回目のはやぶさ斬りが、
ドルマゲスの息の根を止めた。
「あぁぁぁ!?」と俺。
「やっつけた! やった! 勝ったぞ!!」
おかしい。絶対おかしい。
俺の予定と全然違う。二連戦勝ち抜くなんてアリかよ。
喜ぶというよりは、驚きの方が強かった。
「お前が勝てんかったドルマゲスを、
わしがお前より低いレベルで倒したんや!」
「絶対おかしいって! 何でそんな勝ち方するんや!」
最後の一人がアーサーで、絶体絶命で勝利だなんて。
本当に運が良すぎる人になってしまった。
この後もしばらく俺は、「あれはやっぱりおかしい」と言い続けた。
その度に親父が有頂天になるのだが、
俺は言わずにはいられないのだ。あー悔しい。